製作工程・材料
漆を刷毛で何度も塗り重ねる作業を行います。
漆を塗り、乾わくとペーパーで磨き、また漆を塗る作業工程を繰り返します。
これは木地の表面に漆を染みこませ、薄い層で何重にも固めながら滑らかに仕上げてゆく大事な作業です。怠ると最後まで良い作品にはなりません。
次に、生漆(きうるし)日本産の天然漆を全体に塗り、布で拭き取り、乾くとまた生漆を塗る作業をします。これは、ふき漆という工法で13回から24回も繰り返します。
作業を繰り返す程に、日本産の天然漆独特の奥ゆかしい艶を出すようになります。
生漆を繰り返し塗り込む間に、彫刻した図柄に色付けを行います。
まずは漆を練り合わせた彩色漆づくりから始めます。その色漆を筆で塗り磨いたあと、また別の色漆を塗り重ね磨くことで下地の色を出色させる磨ぎ出し工法、細かな粒状の色粉を漆で定着させる乾漆工法など、モチーフの色合いや質感、立体感を表現するために必要になる様々な技法を使い作業していきます。
一日一工程、完成までには大まかに言ってもおよそ30工程を行い、一つの作品の出来上がりは漆塗りだけで、ほぼ一ヶ月程度を要します。
このように丹念に手間暇をかけるからこそ、漆ぬり独特の渋い艶と上品で美しい輝き、熱や酸にも強い丈夫な作品となるのです。
烏城彫は一環して、手間と時間を掛けた昔ながらの作品づくりを守っています。